こんにちは。
共働き夫のうまそえおさむです。
今回は「普通の会社員でもできる」FIREの形が書かれた本を読んで感銘を受けたので、その内容についてご紹介したいと思います。
そして後半では実際に試算を行い、無理に節約、副業、投機的な投資をしなくても、結婚して正社員での共働きを続けさえすれば、5年の早期リタイア(=プチFIRE)できるぐらいの資産を夫婦で築けることが分かりました。
山崎俊輔『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』
本書で述べられたプチFIREが、多くの会社員にとって再現性が高いFIREだと思います。
プチFIREとは、5000万円以上を貯めて定年より5年早くFIREをすることです。
本書ではプチFIREに対する様々なアプローチの仕方が紹介されていましたが、中でも「結婚して正社員で共働きを続ける」ことが再現性が高いFIREだと私は思いました。
・普通の会社員で副業はできない、だけど早期リタイアをしたい方
・投機的なリスクを取らない、再現性の高いFIREの方法を知りたい方
一般的なFIREとプチFIREの違い
FIREとは、「Financial Independence, Retire Early(財務的独立、早期退職)」の略語で、自分の生活費を稼ぐための資産を築き、早期に退職し、自由な生き方をすることを目指すライフスタイルです。
一般的なFIREとは、自分が必要とする年間生活費の25倍の資産(年間の生活費400万円なら1億円)を、30代半ばから40代前半までに築くことと捉えられています。
本書では40代での早期のFIREの実現性への疑問点について述べられています。
ひとつ目の問題は「そこから働かないで取り崩した場合、年金受給開始年齢までの 間、資産が持つかどうか」という計算の不確定要素が大きいということです。同じ取り崩しでも、5年の計算と20年以上の計算は、まったく違ってきます。もちろん長期 に及ぶほど不安定になります。
またもうひとつは「 社会人人生の前半で2倍稼ぐことはかなり苦しい」という問題です。普通の人が65歳まで43年間働くとして、22歳から45歳までの収入と、それ以降 の収入はどちらが多いでしょうか。それは明らかに後者です。若い頃はビジネススキルを育てる時間でもあり年収は低くなります。キャリアが熟して年収も上がってくる 後半に獲得する賃金のほうが大きくなるのは当然です。
出典:山崎俊輔『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』
対して本書ではプチFIREとして5000万円以上を貯めて定年より5年早くリタイアすることをまずは目指すよう提案されています。
プチ FIREのいいところは、数年で公的年金をもらい始めることを前提にできるため、資産額の目標を高額なものとしなくてすむことです。
出典:山崎俊輔『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』
年収を上げる4つのアプローチ
FIREには年収アップが欠かせません。
運用収益を増やすためには原資が必要だからです。
本書では年収を上げるために4つのアプローチが紹介されていました。
・副業をする
・本業で時給を高める
・共働きで稼ぐ
この中の「共働きで稼ぐ」ことでFIREを目指すという考え方が、私が感銘を受けたところです。
今までいくつかのFIRE本を読んできましたが、多くは「節約」「副業」「投資」を推奨するものでした。
私自身、結婚して正社員で共働きを3年続けて夫婦で1000万円を貯めることができたのですが、副業はしておらず投資で大きな利益が出ているわけでもなく、まさに共働きを続けていることと節約を心がけていることが大きな要因だと思います。
そのような実体験から「正社員として共働きで稼ぎ続ければ、副業をしなくても普通の人でも経済的自由への道が開かれるのではないか」といった漠然とした考えが以前からありました。
本書で「共働きで稼ぐ」ことについて記載していただいたおかげで、自分の考えが一般的なものなのだと分かって非常にうれしい思いになりました。
平均的な収入と平均的な支出で試算
正社員として共働きで稼ぎ続けることの資産形成への影響を試算してみようと思います。
以下の平均的な収入と平均的な支出の家庭をモデルに考えました。
・岐阜市在住 4人世帯
・夫 30歳 正社員 年収400万円
・妻 30歳 正社員 年収400万円
・夫婦どちらも手取り月収20万円
(ボーナス4か月分、昇給・退職金なし)
・1年後、3年後にそれぞれ
長男、次男が生まれる
・長男出産時と次男出産時に
夫婦同時に6か月間の育休を取得
・支出
*毎月の生活費32万円
*長男、次男とも保育園~大学まで
国公立の保育料、教育費
*夫と妻の奨学金返済費
(36歳まで、毎月1.4万円×2人分)
これらの条件を設定した根拠については後述します。
試算結果は
A 余剰資金をNISA口座で年利4%のインデックス投資した場合と
B 投資を一切行わなかった場合の
30年後(60歳時点)の資産は
A・・・6,700万円
B・・・4,400万円
になりました。
はじめにお伝えしたとおり、プチFIREとは5000万円以上を貯めて定年より5年早くリタイアすることです。
「A 余剰資金をNISA口座で年利4%のインデックス投資した場合」だと、60歳時点で6,700万円の資産を築くことができましたので、65歳の定年より5年早くプチFIREすることができました。
ちなみに、Aパターンでの25年後の資産額は4,800万円でした。
つまり35歳からでも60歳でのプチFIREは狙えることが分かりました。
平均的な収入と平均的な支出の根拠
年収・月収の根拠
国税庁の令和3年分 民間給与実態統計調査の令和3年分調査結果170ページより、30~34歳の1年間の平均給与が4,125千円ですので、夫と妻の年収はそれぞれ400万円としました。
また、手取り額は年収のおおよそ75%~80%となりますので、一人当たりの年収400万円×80%÷16か月(12か月+ボーナス4か月分)=20万円を手取り月収としました。
ボーナスの根拠
ボーナスについては、経団連「2021年夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」2ページより、非管理職の賞与・一時金支給額が夏季と冬季でそれぞれ月数2.3となっているところから4か月分に設定しました。
毎月の生活費の根拠
家族構成によって支出は大きく変わりますが、税や社会保障等の計算で標準世帯としてよく用いられる4人世帯(夫婦+子供2人)としました。
毎月の生活費の根拠ですが、総務省統計局 統計データ「家計調査 家計収支編 第3-8表 4人世帯(有業者1人)世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(2021年)」によると、4人世帯(有業者1人)の1か月間の平均消費支出は312,779円ですので、32万円に設定しました。
家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2021年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
保育料の根拠
今回は共働き家庭を想定しているため子供は保育園に行くものとしました。
岐阜市の令和5年度の利用者負担額(保育料)及び給食費は保育料金表によると、0歳児から2歳児クラスの保育料は、市民税所得割額が301,000円以上~397,000円未満の場合で月額53,300円となります。
同一世帯で2人以上の子どもが「同時に」保育園を利用している場合は、2番目の子どもの保育料は半額(上記の場合で月額26,650円)となります。
3歳児から5歳児クラスの保育料については保育無償化の対象ですので無料となります。
教育費の根拠
小中高については、文部科学省「令和3年度子供の学習費調査表 1 学校種別の学習費総額」によると、保護者が支出した1年間・子供一人当たりの学習費総額(保護者が子供の学校教育及び学校外活動のために支出した経費の総額)は以下のとおりでした。
年間352,566円 → 月30,000円
公立中学校
年間538,799円 → 月45,000円
公立高等学校
年間512,971円 → 月43,000円
私立小学校
年間1,666,949円 → 月139,000円
私立中学校
年間1,436,353円 → 月120,000円
私立高等学校
年間1,054,444円 → 月88,000円
なお、今回はすべて公立のケースで試算しました。
大学については、「令和3年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について (参考2)国公私立大学の授業料等の推移」によると、令和3年度の入学金、授業料は以下のとおりでした。
入学金 282,000円
授業料 535,800円(年間)
公立大
入学金 391,305円
授業料 536,363円(年間)
私立大
入学金 245,951円
授業料 930,943円(年間)
なお、今回は国立大のケースで試算しました。
夫と妻の奨学金返済費の根拠
日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」12ページより、奨学金を受給している大学生の割合は令和2年度時点で49.6%です。
半分程度の大学生が奨学金を借りている状況から、夫と妻の奨学金返済を試算に入れることにしました。
日本学生支援機構の奨学金の返還は、貸与が終了した月の翌月から数えて7か月目から返還が始まります。
無利子である第一種奨学金の「4年制 国公立 自宅外」の奨学金の貸与総額は2,448,000円であり、返還月額13,600円、返還回数180回(15年)です。
22歳で卒業でしたとすると、23歳になる年の10月から返済が始まりますが、30歳時点ではまだ残り6.5年分、一人あたり1,060,800円の残債が残っていることになりますので、これを36歳になるまで返済します。
インデックス投資ができる時期
今回のケースだとNISA口座等で資産運用を始めることができる時期としては36歳頃からになってしまいます。これは、
ので30代前半はほとんど資産運用に回せるほどの貯金ができないからです。
36歳からは貯金ができるのでその資金を使って夫婦で月14万円の積立投資を行い、途中で余裕資金ができるので46歳からは月の積立額を20万円に引き上げ、50歳まで積立投資を行います。
これで投資元本は2,400万円程度になります。
年利4%で運用できたとして60歳になる24年間で4,600万円にまで成長します。
終わりに 問題はいかにして正社員共働きを継続するか
30代正社員共働き夫婦のプチFIREは再現性が高いと思いますが、簡単にできるということではなく、特に子供がいる場合は苦労が多いと思います。
ですので、正社員で共働きを続けるための工夫についても当ブログで発信していきたいと思います。
以上、共働き夫のうまそえおさむでした。