れっつともばたらき

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【公務員】育休取得前は標準報酬月額が高くなる方を選ぶべし【計算つき】

こんにちは。
共働き夫のうまそえおさむです。

今回は、公務員の方は育休取得前は標準報酬月額が高くなる方を選んだ方がいい理由を計算つきで解説します。

・公務員で将来もらえる育児休業手当金を知りたい方
・標準報酬月額の見直しの対象になっていてどちらを選ぶか検討中の方
 
などに参考にしていただけると幸いです。

 

育休手当の公務員と民間の違い

公務員も民間の事業所にお勤めの方も、育休期間中は給与が出ない代わりにお金をもらうことができますが、その制度は異なります。

公務員の場合は、共済組合から「育児休業手当金」が支給されますが、民間の事業所にお勤めの方は、雇用保険法における「育児休業給付金」が支給されます。

その計算根拠は以下のとおりです。

育休期間中にもらえるお金
・公務員:育児休業手当金(標準報酬日額をもとに計算)
・民間 :育児休業給付金(休業開始時賃金日額をもとに計算)
 

民間の事業所にお勤めの方がもらう育児休業給付金は、休業開始時賃金日額(育児休業を開始する前6ヵ月間の賃金を180で割った額)をもとに計算されます。

一方で、公務員がもらう育児休業手当金は、標準報酬日額(標準報酬月額の1/22の額)をもとに計算されます。

そのため、民間の事業所にお勤めの方がもらう育児休業給付金は標準報酬月額の影響を受けませんが、公務員がもらう育児休業手当金は標準報酬月額の影響を受けます。

標準報酬月額の見直しとは

実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、毎年1回標準報酬月額を決定し直します。これを定時決定といいます。

通常は、当年4月~6月の報酬の平均で標準報酬月額を算出します。

決定し直された標準報酬月額は、当年9月から翌年8月までの各月に適用されます。

この定時決定で、前年7月~当年6月までの年間報酬の平均で算定する額と比較して、当年4月~6月の報酬の平均で標準報酬月額を算出することが著しく不当である場合、年間報酬の平均で算定することができます。(年間平均での算定を保険者算定ということもあります)

年間平均での算定が認められるのは以下①~③を満たすときです。

年間平均での算定が認められるための要件

① 「当年4月~6月の3か月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」  と「前年7月~当年6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」の間に2等級以上の差が生じた場合
② 2等級以上の差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合
③ 被保険者が同意している場合
 
実務では、該当がある時は当年7~8月頃に所属の共済支部から被保険者用の同意書が渡されると思います。
通常はここで手取り額が多くなるように、標準報酬月額が低くなる方を選びますが、育休取得前は標準報酬月額が高くなる方を選ぶ方がお得です。

シュミレーションシートで試算

公務員の育児休業手当金はどれくらいもらえるか試算することができます。

以下は内閣府が公開している収入シュミレーションシートです。

内閣府が各地方自治体へエクセル版を配布していると思いますので、所属の共済支部へ確認してみてください。

育児休業

国家公務員の育児休業 収入シミュレーションシート(2022年10月版 内閣官房内閣人事局

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/male_childcare/pdf/sankou4.pdf

給与明細を準備して、シュミレーションシートへ必要事項を転記するだけで簡単に試算できます。

シートを2枚用意して、標準報酬月額以外は同じ値を入力すると、通常の算定と年間平均での算定の差額を計算できます。

 

前提条件(Aさんのケース)

今回は以下の育休を取ろうとする男性(Aさん)のケースを前提として計算しました。

Aさんのケース

・東京都在住
・30代男性
・通常(4月から6月の平均)の算定:(標準報酬月額)32万円
・年間平均での算定:(標準報酬月額)38万円
・前年度が業務が多忙だったが、育休を取る今年度は比較的落ち着いている。
・当年9月に標準法主月額の見直しが行われる。
・翌年3月から1年間の育休を取得する。

 

育児休業手当金は約40万上がる

シュミレーションシートで計算したところ、Aさんの場合、通常の算定と年間平均での算定で育児休業手当金が1年間で約40万円の差が生じることが分かりました。

通常の算定:(低い標準報酬月額)32万円→(育児休業手当金)約190万円

年間平均での算定:(高い標準報酬月額)38万円→(育児休業手当金)約230万円

その差:約40万円

 

ただし育休を取得するまでの期間の社会保険料が約5万円上がる

ただし育休を取得するまでの期間の社会保険料が少し上がります。
育休に入ると社会保険料は免除されますが、9月から育休が開始されるまでの数か月間は高い標準報酬月額から算出される高い社会保険料を支払わなければなりません。
ここで上がる社会保険料は、健康保険料と厚生年金保険料です。
健康保険料と厚生年金保険料は、下記の「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の報酬月額から該当する金額を探します。
上記の前提条件(Aさんのケース)の場合、通常(4月から6月の平均)の算定での標準報酬月額が32万円、年間平均での算定での標準報酬月額が38万円ですので、黄色でマークした部分の健康保険料と厚生年金保険料がそれぞれ該当します育休
令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(協会けんぽ 全国健康保険協会

上記の保険料額表から、Aさんのケースの場合、通常の算定と年間平均での算定で育休を取得するまでの6か月間で社会保険料の自己負担額が約5万円上がることが分かりました。

通常の算定:(低い標準報酬月額)32万円→(健康保険料)16,000円(厚生年金保険料)29,280円
年間平均での算定:(高い標準報酬月額)38万円→(健康保険料)19,000円(厚生年金保険料)34,770円
その差:8,490/月×6か月(9月~翌2月)=約5万円

まとめ(公務員は育休取得前は標準報酬月額が高くなる方を選ぼう)

試算の結果、育休取得前の定時決定で標準報酬月額が高くなる方を選ぶことで、1年間で約35万円の得をすることが分かりました。
前年度が業務が多忙だったが、育休を取る今年度は比較的落ち着いているという方は、検討されてはいかがでしょうか。
以上、共働き夫のうまそえおさむでした。